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書評 - マッチ箱の脳(AI)-使える人工知能のお話

どうも!かなり久しぶりです。今日も書評です。

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話

この本は、2000年に発売され、Amazon での評価も非常に高く、前から読んでみたいと思っていたのですが、先日 kindle 化されたのをきっかけに早速購入して読んでみました。

機械学習への入り口として最適!

内容は、ゲームの開発者である著者が、実際のゲームで使ったり検討した人工知能のアルゴリズムを紹介しています。紹介されているアルゴリズムは、遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワーク、パーセプトロン、エキスパートシステムなど、いつくか紹介がされております。しかも、それらのアルゴリズムがどのように動くか「体感」ができるようになっています。表題のマッチ箱を使って、簡単な例題と解説にそって手を動かすことにより、理解することができます。

人工知能、AI の本なのですが、そもそも機械学習がAIとオーバーラップしているということもあり、紹介されているアルゴリズムは、機械学習としても紹介されているアルゴリズムです。なので、機械学習って何か、感じ取るには最高の一冊だと思います。内容が非常にわかりやすく、「文系にもわかるように」書かれております。特に、マッチ箱を使ったアルゴリズムの紹介は圧巻です。

また、合わせてアルゴリズムを紹介するだけではなく、ゲームを例にどのように適用するか、使う上での限界や、実際にゲームに適用する上で工夫したことなどもたくさん紹介されています。こんなに公開して大丈夫だったのか・・?(笑)

例えば、こんな感じ。遺伝的アルゴリズム(GA)をどのように適用するか、という章から。

成績が上がらないようなら、バックグラウンドでの世代交代数を多くする、成績が思った以上に上がったら、世代交代数を少なくします。また、同時に、成績が上がらない場合は、突然変異の確率を上げて進化に活を入れてやるような処方もしてあります。こうしたことで、進化の袋小路から脱出できる(場合もある)からです。 

1-4 『アストロノーカ』というゲーム

不思議な機械学習のアルゴリズム

この本を読んだちょうどあとに、ダニエル・ヒリスの「思考する機械 コンピュータ」も読みました。もちろん、タイトルに惹かれて買ったわけですが。こちらの本も機械学習について言及があるので合わせて紹介。

文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)

文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)

本書は、コンピュータをハードウェアではなく、論理的な側面、すなわち、内部的にどのような計算処理がなされているかに当ているのが、特長です。その観点から、コンピューターを構成するエッセンスを横断的に紹介しています。(基礎的なブール演算から、プログラミング、チューリングマシン、アルゴリズム、メモリ、圧縮、暗号など) 横断的だが、内容は決して薄くありません。

はっきり言って、こちらは文系向けではないと思います。コンピュータや情報処理を学ぶものへの入門書として最適で、易しくはありません。

機械学習については、最後の二章。著者は、機械学習のアルゴリズムを用いて、コンピュータにソートアルゴリズムを生成させたそうなのですが、いわく、最適な結果は出るが、結果をみてもなぜそうなのかが理解できなかったそうです。先にこれを読んでても、ピンとこなかったかもしれませんでしたが、マッチ箱のAI、マッチ箱を使った機会学習アルゴリズムの例を実際に試してみるとこの感覚がわかります。

特にプログラミングに慣れている人は特に感じると思います。普通、プログラミングは、条件分岐の集まりで、すなわち、ある課題を解くプログラムは、プログラムそのものに答えが書かれているわけです。フローチャートのようなイメージです。一方で、機械学習の場合、プログラムそのものには、課題を解くための答えは全く書いていない。利用者はひたすら例題の入力と正解を教える(学習)と、最終的には何故か解けるようになる。私は、かなり気持ちが悪い感じになりました。。

うまく説明ができている自信が無いのですが、ヒリスも、多分、同じ感じだったのでは思います。

そして、ヒリスは、小さな機能を積み上げて、大きなものを作る「工学的アプローチ」ではなく、このようななんだか良くわからないけどうまくいく「創発的過程」によって人工知能は生み出されると述べています。

人類は知性がどういうものかを理解できる前に人工知能を作ることができるようになり、しかもそれは、我々自信がよく理解できない複雑な要素の相互作用の結果から創発的に誕生する、と私は思っている。その過程を通じて、我々は人工知能を工学的な意味で設計するのではなく、知性のようなものを誕生させる条件を準備していく。これは、計算機を工学的に設計するというよりも、ケーキ作りをしたり、庭で草花を栽培したりするのに似ている。

9 工学的アプローチの次にくるもの

今後どのようにAIやアルゴリズムが進化していくか、楽しみじゃありませんか?

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宇宙展にて。人工知能ははやぶさ君にものっていたそうですよ!