ビジネスはゲームだ! - 感想:ルールを変える思考法
ドワンゴの川上さんがどのように考えてビジネスを進めているのかがわかる一冊です。本書では、ビジネスの発想はゲームで鍛えられたという主張を骨にして組み立てられています。ビジネスをゲームになぞらえて、どうやってビジネスというゲームを進めてきたか、語られます。それだけで面白そうじゃないですか?
僕自身も、実際のビジネスにおけるロジックを考える上では、これまでに遊んでいたゲームが〝思考力の源〟になっているという実感があります。ゲームで鍛えてきた思考力が、現在にも役立っているのです
実際読んでみてとにかく面白い!特にゲームが好き、ゲームにはまっていた、Ultima Online とか Diable とかピンとくる、ニコニコにはまっていた、コンテンツ・ビジネスに興味がある、という人は必読です。
■ ビジネスはゲームと捉える。ルールがあり、ゴールがある。
まずはゲームのゴールをはっきりさせて、ゴールに到達するためのルールを検証、ハックすることが、ゲームに勝利するには必要だと書きます。
よく言われている話ですが、ゲームと比較されるとわかりやすいな、と思いました。本書にも出てくる戦略ゲームだとあらかじめゴールが定められていて、ゲームはそれに向かって進めていくわけです。例えば、他の国を全て滅亡させるとか(笑)。
プレイヤーはそのために必要なことを行う。収穫を増やす→人口を増やす→生産力を上げる→軍隊を増やす→滅亡、みたいな。(最近、Civ5 にはまっています。)
一方でビジネスの場では、はっきり目標を定められていないことが非常に多い。また、定められていても、売上~~円とか、稼働率~~%とか、数字だけ示されていることってありますよね?そういうケースは、上記のゲームの例だと、「他国の支配している都市が0」って言われているのと同等だと思います。そんな示され方しても、全然モチベーションなんか上がらないよなと。数字だけ示されても、「だから何?」って私はなります。。ビジネスにせよゲームにせよわかりやすい目標が必要ですよね。
また、ルールを検証して、最適解を探するとも書いてあります。ビジネスに関しても、ビジネスを進める上でのルール、法律とか商習慣とか会社の決まりとかがあるわけです。ですが、一旦仕事になれちゃうと、あまりルールや手順を顧みないですよね?
ビジネスの場でもゲームと同じようにハックをしてみようと。
また、そもそもゴールが明示されていないのでは、そいう発想にはたどり着かなかったなと思いました。
■ ビジネスの良し悪しは「きちんと説明できないが、自分が正しい」と思えるかどうか
川上さんは、判断できないところに新しいビジネスチャンスは転がっているし、そういうわけのわからないことこそやるべきビジネスだと語っています。また、そうすることで他社は、大資本を投下してもそう簡単には追随できないし、そもそも、理解ができない。
「イノベーションの解」では、破壊的イノベーションとはその業界でリーダーである企業が資本を投下しても効率が悪い、と思っているようなニッチな市場に対してベンチャー企業が入り込んで行くことで、イノベーションは実現されてきたということを書いています。(この本もかなり面白いので、ぜひ読んでほしい!)実際に、Youtube との対比を川上さんは書いていますが、日本向けであることや、テロップや、コンテンツホルダーの保護など、ニッチへニッチへ進んでいくのですが、全て「イノベーションの解」に書かれている方向と一致していて興味ぶかかった。
イノベーションへの解 (Harvard business school press)
- 作者: Clayton M. Christensen,Michael E. Raynor
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/10/20
- メディア: Kindle版
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ちょっと話はずれますが、ただ全ての会社がそういうふうにニッチを目指せるかというとそうでもない気がしました。私が少し前に、電子書籍を販売している会社とお仕事をさせていただいたことがありました。そこで、プロジェクトのリーダーをしていた方が転職されるときに語っていたことが、とても興味ぶかかったことを覚えています。その会社では、もともと売上比率的にボーイズラブとかアダルトの書籍がよく売れていたそうですが、一方で、会社自体は、名前は出せませんが、伝統のある会社です。そのため、得意なBLやアダルトでニッチに勝負する、ということができない。
その会社自体が伝統あるわけではなく、子会社なので、エロで勝負してもいいだろと個人的には思ったりしたのですが、会社の頭が出向者だったりすると、なかなかそう簡単には行かないですよね。理屈はわかっているけど、実行は難しいことが多いような気もします。
もっと書きたいことはあるのですが、別エントリにします(笑)。
ぜひ。